ものづくり補助金・事業再構築補助金・IT導入補助金の補助金コンサルタント(申請支援・申請コンサルティング)

令和元年補正ものづくり補助金一次公募の採択ポイント解説

設備投資・機械購入に使える補助金

ものづくり補助金一次公募の結果が発表となりました!

2020年3月に締め切りとなりました、ものづくり補助金(令和元年補正予算ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の採択結果が発表になりました。

採択結果はこちらから(ものづくり補助金総合サイト)

申請件数は全国で2,287件、採択者数は1,429件、採択率は62.4%と過去最高の採択率となりました。当社でもこのものづくり補助金の申請をサポートさせていただき、38件中37件の採択、採択率は97.3%となりました。コロナウイルスの影響を受け景気低迷が予想される中、事業者の皆様に嬉しいお知らせをお届けできて安心しております。

では、今回の申請からわかるものづくり補助金採択のポイントについて解説してまいります。

1次公募の申請件数が伸びなかったのはなぜ?

応募件数は全国で2,287件、例年と比較すると非常に少なかったようです。コロナウイルスの影響が甚大だったとはいえ、想定よりかなり少ない申請数となりました。確かに公募期間が約1ヶ月と短く、準備期間も少なかったため5月申請で勝負をかける企業も多いと思います。当社だけでも既に60件以上の申請サポート依頼があることを考えると、企業の設備投資ニーズは一部ではまだ旺盛であると考えられます。しかし、なぜ3月申請をスキップして、5月以降申請に回す企業が多かったのでしょうか?

昨年の早期審査の影響で1回目申請を回避

考えられる理由として、昨年のものづくり補助金の採択率の低さが考えられます。昨年の第一回目募集は早期審査が行われ、公募開始から約一週間で締め切るという異例の公募が行われました。結果は20%台という極めて低い採択率で終わっています。依頼を受けた外部コンサルタントはこの印象が強く、今回の第一回目募集を回避して、無難に5月申請にチャレンジするようアドバイスしている方も多いと思います。しかし、今回は昨年とは違い、一週間しかなかった募集期間は1ヶ月もありました。十分とはいえないまでも、準備に間に合う期間があったため、ここは3月申請でチャレンジしても良かったと思います。実際、当社では間に合う会社さまはすべて3月申請にてチャレンジし、高い採択率を維持することができました。

新公募要領(審査項目)への対応

次に審査について考えてみたいと思います。今年から公募要領が大きく変更され、審査項目にも変化がみられました。

本年度の公募要領はこちらから

特に市場面では、環境へ配慮した取り組みであるかや、ニッチトップを目指しグローバル展開を図る取り組みかどうかなど、昨年とは違う申請書作成が強く求められました。新公募要領への対応が出来たかどうかが勝負の分かれ目になったかもしれません。当社では最新の公募要領を検証・分析し、新基準への徹底対応を行うことで採択率を高めていきました。

政策加点項目の変更と対応の状況

国の政策に沿った対応を行うと採択に有利となる「政策加点」にも大きな変更が見られました。ものづくり補助金は政策的な要素が濃いため、この政策加点項目への対応が勝負を分けたと言っても過言ではありません。当社では不採択は1件のみだったため、データとしては不十分ですが、採択率が極めて高かった理由を分析することは可能です。以下に今年の政策加点項目について分析してみました。

有利となる経営革新計画の認定取得

毎年国や市区町村の認定制度を取得すると有利となる成長加点と呼ばれる項目があります。昨年までは固定資産税がゼロとなる先端設備等導入計画や、設備の即時償却が可能となる経営力向上計画の認定取得も加点が得られました。この2つの認定は比較的簡単に取得することが可能ですが、今年から経営革新計画一本に成長加点が絞られました。

経営革新計画は各都道府県ごとの認定となり、決して簡単には取得できないため、審査上は非常に有利となったと考えられます。当社では38件中14件が経営革新計画の認定取得または審査中であり、その全てが採択となりました。やはり経営革新計画認定の恩恵は大きかったと考えられます。

反面、経営革新計画の認定を取得していない企業も24件中23件採択となっています。よって、認定があった方がもちろん有利ですが、認定を得られなくても申請書次第では採択が狙えたということになります。

有利となる事業継続力強化計画の認定は?

国の災害対策認定である事業継続力強化計画の認定を取得すると政策加点が得られます。この認定制度は、経営革新計画と比較すると簡易に取得できるため、認定はマストだったと考えられます。当社でも38件中38件全て申請し、37件の採択となっています。もし、事業継続力強化計画の認定取得をアドバイスしていないコンサルタントや支援機関にサポートを依頼しているようなら、頼りになりませんので今すぐコンサルタントを変更することをお勧めします…

小規模事業者または創業加点

今年から小規模事業者(商業・サービス業は常時雇用従業員が5名以下、製造業・旅館業等は20名以下、役員を除く人数)や創業5年未満の企業は加点が得られるようになりました。当社でも37件中19件がこの加点を得ており、うち採択が18件となっています。組織力も審査で問われるため、人数が少ない企業は今まで不利でしたが、この救済措置により小規模な会社でも高い採択率が狙えることがわかります。とくに20名程度の社員数の製造業等は組織もある程度しっかりしているところも多く、かつこの小規模事業者加点が得られるので非常に有利だったと考えられます。

コロナウイルスの影響または台風被害を受けた企業

これらの影響を受けた企業は加点を得ることができます。厳しい状況下でも積極的に設備投資を実施する企業を応援するのは当然のことですね。

ものづくり補助金は政策面での要素が色濃いため、今回はこの加点が最も大きかったと予想しています。最初にお客様にヒアリングした際には、これらの影響はなかったとおっしゃる経営者さまが大部分でした。しかし、詳しくヒアリングを行っていくうちに、台風の被害を受けたことが判明したり、間接的にでもコロナウイルスの影響を受けていることがわかりました。当社のコンサルタントとお客様で相談し、その証拠書類を集めていただき、これらの影響を証明する書類を添付しました。結果として、38件中大部分の企業さまが何かしらの影響を受けたことを証明し、この加点を得られたものと考えています。こうしたアドバイスや経営者に寄り添い、採択に向けた機会損失が無いようにサポートしていくことも、我々の大きな役割であると考えています。

給与支給額アップや最低賃金90円アップの加点

給与支給総額を年率平均1.5%、最低賃金をプラス30円維持することが、今年のものづくり補助金から求められるようになりました。この要件が申請数減少の原因ともいえ、従業員の多い企業ほど申請を取りやめていました。しかし、そんな状況下でも果敢に「給与支給額年率平均2%+最低賃金60円」、「急所支給総額年率平均3%+最低賃金90円」を宣言し、果敢にチャレンジする企業は加点を得ることができます。今後も雇用縮小等の影響が懸念される中、この宣言をした企業は非常に有利となったと考えています。当社でも、この給与アップ+最低賃金クリアの加点を行なった企業のうち、1社以外は全て採択となりました。

過去の採択企業の減点は?

今年から過去の採択企業は減点措置が講じられました。当社でもリピーターさまの依頼は多く、今回は4社からサポートの依頼をお受けしています。結果としては4件中4件全採択となっています。減点措置は気になるところですが、それほどの減点はされなかったというのが当社の見解です。

一次審査の採択ポイントまとめ

いかがでしたか?申請書の完成度はもちろん、政策加点の重要性もご理解いただけたと思います。コロナウイルスの影響を受ける中、雇用創出やV字回復に向けた積極的な取り組みを行う事業者を支援するのは国として当然のことです。我々も、こうした勇気あるお客様が機会損失なく、確実に採択を取れるよう全力でサポートしていきたいと思います。今の支援者にご不満がある方、自社で取り組むのが難しいとお考えの方、初めての申請で心配な方など、気軽にぜひお問い合わせいただければと思います。

【執筆者のご紹介】

補助金支援コンサルタント・事業計画策定エキスパート・中小企業診断士 姫田 光太

ものづくり補助金申請支援では通算28連勝連続採択。小規模事業者持続化補助金9連勝、IT補助金では32件中30件採択。ものづくり製造業の採択率100%をキープ。平成29年度補正予算(平成30年実施)、平成30年度補正予算(平成31年実施)経済産業省系の補助金支援の採択率は100%。経営者の想いを伝える事業計画づくりがモットーの補助金申請支援コンサルタント。