事業再構築指針からみる事業再構築の定義【事業再構築補助金】
事業再構築指針が発表されました
3月17日、中小企業庁より「事業再構築指針」および「事業再構築指針の手引き」が発表されました。「事業再構築指針」とは、事業再構築補助金の支援の対象を明確化するため、「事業再構築」の定義等について明らかにしたものです。今回は、指針がまとめられた「事業再構築指針の手引き」を元に、事業再構築の定義について紹介します。
事業再構築指針からみる事業再構築の定義とは?
・事業再構築の定義=5類型
「事業再構築指針」の手引きでは、事業再構築指針の全体像は下記のようにまとめられています。
今までやや抽象的だった「事業再構築」に関して、
「事業再構築」とは、「新分野展開」、「事業転換」、「業種転換」、「業態転換」又は「事業再編」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。
と記されており、それぞれの類型について、定義と要件を満たす・満たさない事例が説明されています。手引きでは1類型で8Pにわたるものもあり、かなり細かい内容となっています。
・「新分野展開」か「業態転換」の定義をチェック
5つの類型のうち、多くの事業者にとって現実的なのは「A 新分野展開」または「D 業態転換」ではないでしょうか。
A 新分野転換:業種や事業の変更なく、新たな製品等を製造
B 事業転換:売上構成比率の最も高い事業の転換(金属用金型製造業→ロボット製造業など)が必要
C 業種転換:主たる業種の転換(製造業→サービス業など)が必要
D 業態転換:製品の製造方法等を相当程度変更
E 事業再編:合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡等を行う
「C 業種転換」はハードルが高く、「E 事業再編」はそもそも該当しない場合も多いのではないかと思います。まずは、「A 新分野展開」または「D 業態転換」の定義を確認されることをおすすめします。コロナウィルスの影響を機に別事業に大きく舵を切るなら「B 事業転換」も視野に入ってくるでしょう。
・業種、事業とは?
ちなみに、「B 事業転換」や「C 業種転換」の「事業」や「業種」の定義は、総務省が発表する日本標準産業分類が利用されています。
「業種」は日本標準産業分類の「大分類」を指し、「事業」は「中分類」、「小分類」「細分類」にあたります。
申請のポイント
・事業再構築指針を見直し、「どうしたら申請できるか」を前向きに考える
・コロナウィルスの影響をしっかり記載する
・売上10%要件など、定量的な要件にも注意
事業再構築指針の発表を受けて、おそらく多くの方が細かく、ハードルが高いと感じたのではないでしょうか。「A新分野転換」1つとっても、
「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」、「売上高10%要件」の3つを全て満たす(=事業計画において示す)必要があります。
と記載があり、「製品等の新規性要件」、「市場の新規性要件」それぞれに関しても細かく定義が定められており、すべてを満たすのは容易ではありません。複雑な指針を少し見ただけで、事業再構築補助金の申請をあきらめてしまった方、意欲が下がってしまった方も多いかもしれません。
事業再構築補助金は最大1億円交付の大型補助金になるため、事業再構築指針に沿ったストーリーを熟考し、労力をかけてしっかりとした事業計画を作成する必要があります。ですが、国の補正予算で計上された金額を鑑みると、すべての要件を完璧に満たした企業でないと採択されない、そもそも申請できないと決めつけてしまうのはやや時期尚早という見方もできるかと思います。再度、該当しそうな類型を絞って、定義や要件を満たす・満たさない事例を確認し、「申請できない理由」を探すより、まずは「どうしたら申請できるか」という方向で検討されることをおすすめします。
また、事業再構築補助金は、「ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援する」補助金です。指針への対応に特化してしまい、新型コロナウィルスによる影響の記載がおろそかにならないようご注意ください。
加えて、事業再構築指針への対応等は申請書の本文中で表現を工夫できる部分もあるかと思いますが、「売上高10%要件」など、定量的に求められる要件は、明確な根拠と具体的な数値計画を準備したいです。
まもなく公募開始見込み
まもなく公募要領が発表される見込みです。当社ではWeb無料相談も実施しており、すでに多数の事業者様よりご連絡いただいています。お早めにご相談いただければ幸いです。