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ものづくり補助金10次公募開始&変更点

ものづくり補助金の10次公募が開始されました

先日、ものづくり補助金の10次回公募が開始されました。申請締切は5月11日(水)17時になります。今回から令和3年度補正予算に年度が変わり、従来一律1,000万円(通常枠)だった補助上限額が従業員規模に応じて設定されるなどの見直しや拡充が行われました。

主な改正事項は下記になります。

1.従業員規模に応じた補助上限額の設定

2.回復型賃上げ・雇用拡大枠デジタル枠グリーン枠の新設

3.特定事業者の一部追加や再生事業者への優遇措置

その他にもいくつかの点が変更されています。
今回は10次締切の公募要領を参考に、主な改正点を紹介します。

1.従業員規模に応じた補助上限額の設定

10次締切の補助上限額、補助率は下記となります。

限られた政策資源で、最低賃金引上げを含めた賃上げの原資となる付加価値を創出 する事業者を支援するため、従来一律1,000万円としていた通常枠の補助上限額を 従業員の規模に応じて、従業員数21人以上:1,250万円、6~20人:1,000万 円、5人以下:750万円に見直し。

※図表はすべて「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要」(中小企業庁)より引用

事業再構築補助金でも第3回から従業員規模に応じて補助上限額が見直されたように、ものづくり補助金でも従業員規模によって金額が見直されました。21名以上で大規模投資を検討していた事業者にとっては追い風となると思います。

 

2.回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠の新設

9次締切まで設けられていた新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)がなくなり、新たに3つの枠が設けられました。通常枠と合わせると一般型は4つの枠があることになります。(別途グローバル展開型あり)

新設枠について簡単に説明すると

①回復型賃上げ・雇用拡大枠

業況が厳しい事業者に対して、賃上げ・雇用拡大に取り組むための生産性向上を支援する申請類型になります。業況が厳しい事業者とは、具体的には前年度の事業年度の課税所得がゼロである事業者です。賃上げ目標を達成しないと補助金の全額返還が求められる点にご注意ください。

②デジタル枠

DX(デジタル・トランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービスの開発またはデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業者が対象になります。公募要領にはAI・IoT、ロボットシステム、オペレーションセンターの構築など先進的または大規模なIT投資が例として挙げられています。単にデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化などは対象外とも記載されており、単なるデジタル化の推進に留まらない革新性のある取り組みが求められます。

③グリーン枠

温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発、または炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善等を行う事業者が対象になります。公募要領に挙げられている例のうち、生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資などは対象になりやすいかもしれません。グリーン枠では炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業計画を作成する必要があります(エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツール(Excel)あり)。

炭素生産性=付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)÷エネルギー起源二酸化炭素排出量
二酸化炭素排出量=活動量(生産量・使用量・焼却量など)×排出係数

参考:エネルギー起源二酸化炭素排出量等計算ツールの利用マニュアル

また、これまでの温室効果ガス排出削減に向けた詳細な取組状況がわかる書面の提出も求められます。

 

いずれも時代背景を加味して新設された枠ですが、これらの枠で申請すると補助率が2/3にアップします。以前の新特別枠(低感染リスク型ビジネス枠)に比べるとやや要件のハードルが上がった印象を受けますが、要件を満たせそうであれば、検討する価値は十分あります。ただし、各枠の審査で不採択だった場合、通常枠で再審査が受けられるのは①回復型賃上げ・雇用拡大枠、②デジタル枠のみなのでご注意ください。

 

3.特定事業者の一部追加や再生事業者への優遇措置

また、補助事業者の見直し、拡充がされています。

①補助対象事業者に資本金10億円未満の「特定事業者」を追加

令和3年8月に一部が施行された「産業競争力強化法等の一部を改正する法律」において特定事業者が創設されたことに伴い、ものづくり補助金の対象事業者にも資本金10億円未満の特定事業者が追加されました。

 資本金額、従業員数いずれも満たす必要がありますが、今まで中小企業者の定義を満たせなかった事業者には大きなチャンスと言えます。

 

②再生事業者を対象とした加点を行うとともに、補助率を2/3に引き上げ

また、再生事業者(中小企業再生支援協議会等から支援を受け、再生計画を策定中の者または策定済かつ応募締切から遡って3年以内に再生計画等が成立した者)を対象として、加点により採択を優遇するとともに、補助率を2/3に引き上げて支援。一定の場合に返還要件を免除すると発表されています。再生事業者の詳しい定義は下記をご確認ください。

参考:ものづくり補助金総合サイト <別紙4>再生事業者の定義

 

その他

その他にも、審査項目に「地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか」や「事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか」の追記がされるなど、時流を考慮した変更点が見受けられます。該当する場合は確実にアピールしたい項目です。その他、賃上げ計画に関わる様式の変更なども忘れずにご確認ください。

事前相談を受け付け中

当社ではZoomによるWeb無料相談を実施しており、多数の事業者様よりご相談いただいています。これから3月は年度末で忙しい時期になり、4月末から5月初旬は大型連休も挟みます。十分な時間を確保して事業計画書を作成するためにも、お早めにご相談いただければ幸いです。

参考:

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 令和3年度補正予算の概要

ものづくり補助金総合サイト

ものづくり補助金 公募要領(10次締切分)