「成長枠」は今までの「通常枠」とどう違う?【事業再構築補助金】
事業再構築補助金の新たな申請枠
先日、事業再構築補助金の第10回公募が開始されました。新たな申請枠は下記になります。
事業再構築補助金の概要(中小企業等事業再構築促進事業)より抜粋
今回は、新たな申請枠のうち、比較的申請対象になりやすいと考えられる「成長枠」についてご案内します。主な内容は下記になります。
・補助上限額と補助率
・業種・業態の指定
・付加価値額の年率4.0%増加要件
・給与総支給額の年率平均2%以上増加要件
・卒業促進枠や大規模賃金引上促進枠との同時応募可能
【補助上限額と補助率】補助率は1️/2、ただし増加要件あり
「成長枠」の補助上限額、補助率は下記となります。
「成長枠」は第9回までの「通常枠」のリニューアル版とも捉えられますが、中小企業の場合、補助率が2/3から1/2になったことが、今までの「通常枠」との大きな違いになると思います。また、従業員規模が51〜100人、101人以上の場合、補助上限額が1,000万円減額しました。
ただし、大規模な賃上げを行えば補助率を2/3に上げることが可能です。
要件は、
1補助事業期間内に給与支給総額を年平均6%以上増加させること
2補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
とされています。
応募時点で直近の事業年度の給与支給総額 ≦ 基準年度の給与支給総額である必要がある等、細かい要件がいくつかありますのでご注意ください。
【業種・業態の指定】売上減少要件はなくなったものの、業種が限定的に
「成長枠」で1番注目すべきは、業種・業態が指定されたことではないでしょうか。取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していないと、この枠で申請自体ができません。
対象となる業種・業態はすでにリストが公開されています。
◆成長枠の対象となる業種・業態の一覧
今後随時更新予定とされていますが、現時点ではほとんどの業種を幅広く網羅しているとは言い難く、かなり限定されているように見受けられます。「指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨データを提出し、認められた場合には対象になり得る」とされていますが、公的統計など信頼性が高いデータが求められ、対象への反映にも時間を要する可能性があると推察されます。
本要件は、後述する付加価値額や給与総支給額の増加要件のように、事業者側である程度調整できる内容ではありません。今までの売上減少要件に代わる一大ハードルといった印象を受けます。まず、該当するかしないかの確認が必要です。
【付加価値額の年率4.0%増加要件】今までの通常枠より増加率アップ
事業再構築補助金全体の申請要件として、付加価値額(または従業員一人当たりの付加価値額)の年率平均3.0〜5.0%増加させることが必要ですが、「成長枠」は、4.0%の増加が要件になります。今までの「通常枠」は3.0%だったので、事業計画作成には十分ご注意ください。
【給与総支給額の年率平均2%以上増加要件】事業終了後3〜5年で計画作成
「成長枠」では、付加価値額の増加に加えて、給与支給額の増加も要件に加えられており、事業終了後3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる必要があります。「事業終了後3〜5年」が対象のため、中長期的な賃金計画の作成が求められます。前述した補助率を2/3に上げるための大幅な賃上げの対象期間は「補助事業期間内」です。各要件の対象期間にご注意ください。
政府の賃金引上要請もあり、賃金関連の要件が混在していますが、「成長枠」に関しては、まずはこの必須要件「事業終了後3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加」が最優先事項になります。
【卒業促進枠や大規模賃金引上促進枠との同時応募可能】
最後に、補足的になりますが、「成長枠」は「卒業促進枠」や「大規模賃金引上促進枠」のいずれかに同時に申請することが可能です。(「グリーン成長枠」も同時申請可)
卒業促進枠(中小企業等からの卒業):上限を2倍に引上げ
大規模賃金引上促進枠:上限3,000万円上乗せ
必要要件は、事業再構築補助金の公募要領等をご確認ください。
「卒業促進枠」と「大規模賃金引上促進枠」は、併用することはできません。また、「卒業促進枠」や「大規模賃金引上促進枠」の補助対象経費は、「成長枠」の補助対象経費と明確に分ける必要があり、同一の建物や設備等を「卒業促進枠」または「大規模賃金引上促進枠」と、「成長枠」との両方で対象経費とすることはできません。
事前相談を受け付け中
「成長枠」だけでも、色々細かな要件がありますが、もし、1番のポイントである対象となる業種・業態の要件を満たせるのであれば、申請がしやすい枠だと思います。成長分野で事業再構築をお考えの事業者様は、ぜひその他の要件を満たせないかご確認ください。
当社ではZoomによるWeb無料相談を実施しており、すでに多くの事業者様よりご相談いただいています。お早めにご相談いただけますと幸いです。
参考: